in the wind |
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| 私に許されている弾数は三発。 標的に二発を打ち込み、一発は自分のみを守る為に残しておこう。そして私は立ち去ったふりをして、どこかから保存する部隊が現れるのを待ち、その様子をうかがっていれば、その場でのたいていのことは分かるだろう。 その程度のことと思っていた。そしてそれと同時に私は組織について詳しく知る必要があった。 私自身が組織の一員として働いているにもかかわらず、私は組織のことを何もしらないのである。 それはまるで、人体の一番高いところに鎮座し、体の器官のありとあらゆるものへ命令をし、 逆らうことをさせない脳みそが、本当は自分も臓器の一員であり、自分自身に命令を出しているにもかかわらず、自分自身の仕組みが分かっていないのと同じだった。 私には分かる必要があるのだ。 どうせあの男にきいても何も答えてくれはしないのである。 「あなたが質問をする限り、私は答えることはないだろう」というような謎かけのような、分かるような分からないことを言うだけだろう。 彼は私をからかっているとしか思えない。 となれば私は自分自身で組織のことを調べる必要があるというわけである。しかし一体どうすれば組織のことが分かってくるのだろうか。図書館に行けば調べることができるのだろうか。それともインターネットで検索すればどこかにはひっかかるのだろうか。 そもそも組織そのものが実態として存在するのかどうかも疑わしいのである。どこかの国の秘密結社のように政府の影に見え隠れするものに感じてきさえするのである。 事実、私は標的を消すことしか携わっていない。 おそらく、組織のトップが標的を決め、それを報告するものがいて、実行するものがいる。 その実行者が私なのだ。一番末端をになっているのだ。と考えると、あのマネージャーは私に報告をするだけの役割をもった人間であり、誰が標的を決めているのかを知らないはずである。つまり彼も組織に属しながら組織の実態を分かっていない人間ということになる。もちろん私よりも知っていることはあるだろうが。 似たようなことをダラダラと考えながら五本目の缶ビールに手をかけたが、思ったよりも酔っている自分がいたので、とりあえず飲むのはやめた。 少し気分転換をしようとオーディオにディスクをセットし、適当な音楽を流した。 その曲は古い時代のものだった。のびやかな声を持った外国人の男性ボーカルがうたっている 「答えは風に舞っている」 人類がこの地球上に誕生して今まで解くことができなかった謎がどういったものであるかは、今の私には興味がない。どうせなら、私が追い求めている答えが風に舞っていてもらいたいものだった。 そんな願いが届くわけなく、ただ闇雲に時間が過ぎていくだけであった。そしてその時間は深々と降り、やがては永久凍土となって私の心に積もるのである。
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6月8日(木)09:40 | トラックバック(0) | コメント(4) | THE TALE OF... | 管理
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by wbikkmx6pt | Mail | HP | 8月18日(金)19:39
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by 4crzy5qmgn | Mail | HP | 8月27日(日)04:06
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by rrhxei8x5k | Mail | HP | 8月27日(日)04:08
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by sd3rlhbvl2 | Mail | HP | 8月27日(日)04:10
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