部室にやってきた先輩 |
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| どれくらい前のことだったか・・・私がまだ中学生のときだったから十年以上前の話になるだろうか。 社会の授業で日本史を習ったときのことだった。 教科書に普通の文章よりも濃く、太いゴシック体で書かれている文字。蛍光ペンでマークをつけて、テスト対策をしたあの文字で 「地球環境保護制度」と書かれていた。 しかし、それは名前だけのもので実は地球環境を著しく侵す人物は、政府の人間に消されてしまうということだった。 私の友人のお父さんのお兄さん、つまり私の友人のおじさんも政府によって消されてしまったらしい。 また、歴史の先生は元政府の人間だったらしく、その先生によると二回にわたる世界大戦も各政府が地球規模で人口を減らすための政策をうちだし、合意の下でおこなわれたものであり、そのときに行われたヒトラーのユダヤ人虐殺も日本軍による南京大虐殺もその一環だったと伝えられているのだ。 しかし、今はそれほど大規模で無差別なことはしなくなり、地球環境を著しく侵した人間や、これから地球の環境を破壊する可能性を持っている人間を予め消していくというものになっているらしい。 それ以来、誰もが殺されたくないから地球環境を守るようになり、車もハイブリッドを開発したりしているが、政府に消されていく人間は後を絶たないのである。
その話を聞いてから私もいつかは政府に消されてしまうのだろうかと不安になったこともあった。 しかし、それはどこか遠くの国の御伽噺・・・御伽噺というとあまりにもファンタジーなイメージではあるが、どこか遠くの国の御伽噺のような感じがして、結局は実感がわかなかったのだった。
でもそれは現実に起こることだった。 今私は右足に激痛を感じ、倒れこんだ。 太ももあたりから大量に鮮血があふれ出し、ぬるぬるとした血の感触と、恐怖と、あとわずかしか残されていない人生。 死神が一歩ずつ近づいてくる足音が聞こえる。 なぜ私が殺されるのだろうか。環境破壊をしたおぼえなんてまったくないのに。ひょっとしたら私はこの先環境破壊をするだろう人物だったのだろうか。 出血のために薄れていく意識をなんとか保とうと唇をかみ締めながら考えていた。 どうせこのままここに倒れていても結局は死んでしまうのだ。死神にこの首を取られてしまったら考えることなんてできなくなってしまうではないか。 高校のときの国語の先生がパスカルの言葉を紹介していたのを思い出した。人間は考える葦である。 しかし、生きる為ならどんな動物だって考えているだろう。 高校生ながらそんなことを感じたから、私の中で、「人間は無駄なことを考える葦である」と変えた。 それが今証明されているのだ。自分が後もう少ししたら死んでしまうというのに、中学のときの歴史の先生が言っていたことや、高校のときの国語の先生が言っていたことを思い出しては、必死で頭を使い、神経を張り巡らしている。 唇からは血が流れているが、太ももからこんなに血が流れているのだから、この程度の微々たる血など、どうでもよかった。
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5月19日(金)01:30 | トラックバック(0) | コメント(3) | THE TALE OF... | 管理
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by g8ahdmmz23 | Mail | HP | 8月18日(金)19:42
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by gbkw6w2dx9 | Mail | HP | 8月27日(日)04:08
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by sn4vjar3ro | Mail | HP | 8月27日(日)04:12
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