第一話 |
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| いづれの御時にか… この一文から始まる物語がある。 この物語は千年もの昔に書かれたにもかかわらず、数々の謎はいまだに解けないでいる。 謎が解き明かされていないのに、また次の物語が始まる。 その物語はまた謎を残し、去っていく。 そしてまた次の物語がやってくる…結局、謎ばかりが残ってしまうのだ。 そして、今からもう一つの物語が幕を開けようとしている。
今からどれくらい前のことだったか私にはわからない。 ある男と女がいた。 その男は別の場所にも女がいて、今の女とは結婚する気など微塵も思っていなかったのだ。 しかし、どういうわけか女が身ごもってしまったのだ。 女は仕方なく子を産み、生活をしていくためにこの男と結婚をした。 誰もが望んだ結婚ではないにしろ、こんなめでたいことはないだろうと、周りのものは祝福をしたのだった。 しかし男は女を愛してはいなかった。 仕方なくできた子供で、それに伴った結婚だったのだ。 当然そんな夫婦生活は円満に続くわけでもなく、男は子供を置いて別の女のところへと通うのだった。 そのような冷めた生活が五年ほど続いたころ、この女にもう一人子供が生まれた。 1984年3月21日のことだった。3700グラムという、稀にみる大きな男の子だったが、生まれてきた子供は普通の子供ではなかった。 先天性心臓疾患をかかえており、チアノーゼにより体中が紫色になっていたのだった。 病名はファロー四徴症。肺動脈狭窄、心室中隔欠損、大動脈の両心室へのまたがり、右心室肥大の四つの症状がある病気だったのである。 現在ではたいしたことのない病気だが、当時は生存率が一割程度のものだった。 生まれてきた子供は生きる勇気をもつ貴い人間になって欲しいという願いを込めて、勇貴と名付けられた。 勇貴は生まれてすぐ入院生活を強いられることとなったのだ。 もちろん生まれてきたばかりの勇貴は「生きる」ということがどういうことか知るはずもなく、この子供の命を救うために、母親は自分の命をかけていくのだった。
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10月10日(月)18:23 | トラックバック(0) | コメント(2) | THE TALE OF... | 管理
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僕はしにましぇん!
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| 自分の人生をストーリー仕立てでやっていこうと思いまして。 そのうち文庫化!?(笑
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by たんたか | 10月14日(金)01:34
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