THE TALE OF...
 
~snigle malt whisky~
 


第四話

ベッドの上に寝かされた勇貴が手術室に運ばれていった。
もしかしたら生きてる勇貴を見るのはそれが最後かもしれない。

時間が経つのはこんなに長いものだったろうか、一秒を刻む秒針の音が重く両肩にのしかかるような気がしてならない。この音をあと何回聞くまで勇貴は生きているだろうか。

そんなとき、看護婦が母のもとへ走ってき「心肺停止」
短くそう伝えた。

勇貴は死んだ。

やっとあのつらい、苦しい生活から解放される。
よかったね。

母はそう思った瞬間に短い間の思い出が溢れてきた。
空が大きいと言った声、抱きしめたときのぬくもり。

「…いします。」

最初は声にならなかった。看護婦の耳に届かなかった。

「お願いします。勇貴を助けて下さい」



勇貴を楽にさせてやるはずだったのに、いざ勇貴が死ぬと生きていてほしいと思ってしまった。


心肺停止から五分ほど、勇貴の心臓はもう一度動きだした。

勇貴の体は100%治ったわけではないが、日常生活をおくれるまでには回復した。




11月3日(木)12:13 | トラックバック(0) | コメント(0) | THE TALE OF... | 管理

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