THE TALE OF...
 
~snigle malt whisky~
 


空白の音色がボクを見つけた

ブゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーン・・・・・ブゥゥゥゥゥゥン・・・
ガタン・・・ガタッ・・・・・・


不愉快な音と振動によって目を覚ました。
自分がいるこの部屋には窓がないらしく、あたりは真っ暗だった。
音と振動だけがある部屋。
なぜ自分がこんなところにいるのか、どうやってここまできたか思い出そうとしても無駄だった。
なんせ自分の名前すら思い出せないのだ。

覚えているのは不愉快な音と振動だけ。
それ以前は空白だ。
存在したのかしていないのかもわからない。
いったい自分の年齢がどれくらいなのか、どういった経歴をもった人間なのか何もわからない、否、何も思い出せないままただひたすらに、闇雲に時間が過ぎ、埋めることのできない空白が広がっていくような感じがしていた。
その流れていく時間と暗闇とがすこしずつ恐怖を連れてきて、思わず喉をからして叫び続けた。

自分の叫び声が暗闇に吸い込まれていき、それがより一層自分の孤独感を引き立たせたためか、恐怖が恋人のように寄り添い、語りかけてくるのだった。
振り払おうとすればするほど纏わりつき、このまま恐怖と共存する以外の選択肢が思いつかないままだった。



4月2日(日)15:18 | トラックバック(0) | コメント(0) | 頭の中 | 管理

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